カニの旬 /美味しい季節、漁の時期

カニ 旬 /カニの種類と旬

冬の味覚として知られているカニですが、多くの日本人が思い描くのは、日本海産のズワイガニ。

日本海産本ズワイガニの旬は冬なので、「カニの旬は冬」と漠然と思い込んでいる人は多いでしょう。

しかし、カニの「旬」を決定づける最大のポイントは、「国内産地の漁港に水揚げされる時期」であり、カニの種類によって旬は異なります。

日本でよく食べられているカニだけでも、日本海産のブランドズワイガニはもちろん、毛ガニやタラバ、花咲ガニにワタリガニ、世界最大ともいわれる西伊豆名産のタカアシガニ、淡水系のモズクガニやサワガニなど食用のカニの種類は細分化すると数しれず、それぞれ旬も違います。

日本で特に知名度が高い食用の4大ガニ(ズワイガニ、タラバガニ、毛ガニ、花咲ガニ)だけでも全て旬は違いますし、カニの種類は世界中で約6,000種とも言われています。

全体的に見ると確かに冬が旬のカニが多いのですが、夏が旬のカニもいます。

また、冬といっても、カニの種類によってそれぞれ時期が微妙に違いますし、地域によっても違います。

カニの旬が全て冬だと思い込みがちな理由

そもそも国内で庶民がカニを食べるようになったのは明治時代の末以降であり、通販で全国の方がカニを食べられるようになったのは、高々この10年ちょっとです。

インターネットともなると、この数年。

元々カニを購入する人は富裕層が多かったのですが、楽●が、大量に売るために「訳あり」「激安」のカニを各ネットショップに奨励したことで、爆発的に一般庶民の購買量が増えたと言われています。

これにより、通販サイトの年末商戦の12月に、1年のほとんどのカニが購買されるようになり、この時期にカニを売ってしまわないと、いくら新鮮で美味しいカニでも他の季節ではほとんど売れない風潮ができてしまいました。

12月と1月を過ぎると、カニの購買量は、半減以下になる業者も珍しくなく、ひどい所は10分の1にも落ち込むので、業者さんも年末に売り切ってしまいたいと必死なわけです。

カニ 旬 /ズワイガニの旬

まっすぐ細長く伸びた小枝のような見た目のズワイガニは、「本ズワイガニ」という種類がほとんどですが、水揚げした地域でさまざまな名前が付けられています。

産地によって「松葉ガニ」「越前ガニ」「津居山かに」などいろいろな名前がつけられますが、ブランド名が付いていると値段が高くなる傾向があります。

ズワイガニの価格は産地だけでなく、季節、そのシーズンの水揚げ量、カニの状態によって大きく変わり、一般的に大きいものほど高値で取引されます。

一方でロシアから輸入されたものは国産のブランドが付いたものの半値近くで取引されることがあります。

小さなものでキロ単位2,000円程度から大きくなると10,000円あたりまで値幅が大きいのもズワイガニの特徴です。

北海道のズワイガニは春が旬

北海道のズワイガニの旬の時期は10月~5月とされています。

毛ガニほどではありませんが、ズワイガニについても長い期間楽しむことができ、こちらも地域によって漁の時期が異なる点が特徴です。

北海道や東北地方、新潟県は10月頃からズワイガニの漁がスタートし、翌年の5月までズワイガニが水揚げされ、漁獲される量も多くなっています。

特に美味しい旬の時期は、11月頃からの冬の時期と思われがちですが、実は北海道と本州では旬の時期は異なって、北海道のおいしい時期は3月~5月と言われており、春が食べ頃です。

なお、北海道のオホーツク海に関しては冬場は海に氷が張っていることもあり、ズワイガニ漁は4月と5月のみです。

主に日本海を中心に獲ることができますが、日本一の水揚げを誇る港はなんと北海道のオホーツク海岸紋別市の紋別港なので、春が本当の旬の北海道産のズワイガニを食べるなら、オホーツク産が特におすすめです。

このように、ズワイガニは冬が旬の季節と考えている方も多いかもしれませんが、北海道などの東日本では春になってもズワイガニを楽しむことができるという点は覚えておくといいかもしれません。

西日本のズワイガニの旬は11月

西日本におけるズワイガニ漁は雄と雌で漁獲時期が異なる点が大きなポイント。

西日本のズワイガニの旬は11月頃から翌年の3月までです。

「ズワイガニ」とひとくくりにしていますが、じつは雄と雌とでは旬の時期が異なっています。

雄の旬・・・11月から翌年 3月
雌の旬・・・11月から翌年1月

西日本のズワイガニの漁期は細かく分けられており、雄ガニは11月6日~3月20日、雌ガニは11月6日~1月10日となっており、雌ガニの方が漁の期間が短くなっています。

このように雌雄の旬が異なることで、ズワイガニを楽しめる時期は増えます。

なお、ズワイガニの主な名産地は、以下のとおりとなっており、実は西日本の兵庫県がNo1です。

日本のカニの名産地Best5
  • 兵庫県
  • 鳥取県
  • 石川県
  • 福井県
  • 新潟県

「カニといえば北海道」というイメージがあるかもしれませんが、ズワイガニに関して北海道は平成24年の農林水産省「海面漁業生産統計調査」の時点ではTOP5に入っていません。

兵庫県はズワイガニの名産地であり、「津居山かに」「柴山かに」「香住ガニ」などのブランドガニが充実しているので、一度は食べてみる事をお勧めします。

北陸のズワイガニの旬

石川県、富山県、福井県の3県を指す北陸地方は、日本でも指折りの絶品ガニが味わえる「カニの本場」といわれています。

北陸では11月~3月にかけてズワイガニが水揚げされ、その期間は金沢を中心に新鮮なズワイガニを味わうことができます。

北陸のズワイガニは「北陸の冬の王者」といわれており、上品な甘みとギュッと凝縮された旨味のある味わいが特徴で、濃厚なカニ味噌も絶品です。

現地で水揚げされたばかりの新鮮なズワイガニを堪能したいのであれば、11月~3月の冬シーズンに北陸を訪れるのがベストです。

北陸のズワイガニも獲れる地域によってブランド化されており、特に福井と石川で水揚げされるものがブランドガニとして有名です。

全国的に特に知名度が高いのは、福井で獲れる「越前ガニ」で、ブランドガニの証明として黄色のタグが取りつけられています。

石川で獲れるズワイガニは「加能ガニ」と呼ばれており、2006年に石川県内の漁協がひとつに合併されたことをきっかけにブランド化されました。

加能ガニには、青色の証明タグが取りつけられています。

なお、「加能ガニ」と呼ばれるのは主にオスのズワイガニで、メスのカニは「香箱ガニ」と呼ばれています。

ズワイガニの特徴どおり、メスはオスに比べて小さく、価格も安めですが、甲羅の中の内子(卵巣)やお腹の外側にある卵は絶品で、オスと同じく濃厚なカニ味噌もたっぷりと味わうことができます。

香箱ガニが県外の市場に出回ることはほとんどありませんが、地元ではオスよりもメスを好んで食べる人も多いです。

金沢を訪れた際には、ぜひ食したい一品です。

越前ガニの旬

越前がにの解禁期間は11月6日~3月20日となっており、旬の時期も3月から11月となっています。

ただし、越前ガニは、雄(♂)ガニが11月~3月、雌ガニは11月~1月までと、きっちり決められているので、雌ガニについては1月までしか食べられないので注意です。

越前海岸沿岸、段々畑状の海底が越前ガニ生息の素晴らしい漁場となっており、「味覚の王者」と呼ばれるのにふさわしいその味は、一度食べたら忘れらないほど。

一度は旬の越前ガニを味わってみてください。

せいこがにの旬

せいこがにとは、海底230m~250m付近に生息する雌のズワイガニで、体長は約25cm前後です。

特徴は何といってもお腹の中で、外子と呼ばれる受精卵はプチプチとした食感が美味。

そして内子と呼ばれる濃い橙色の卵巣は、「赤いダイヤ」とも呼ばれる珍味です。

せいこがには、翌年1月10日前後には産卵が始まるため、漁期もこの頃までとなっており、11月6日の解禁日から約2カ月間だけ限定で堪能できる貴重な味です。

大きさはもちろん、価格もお手頃なので、地元ではせいこがにを好む人が多く見られます。

北陸新幹線が開通し、西日本からも東日本からもアクセスしやすくなったので、是非現地で味わってみてください。

カニ 旬 /タラバガニの旬

サイズが大きく、細かいトゲの甲羅、そして長い脚が特徴のタラバガニ。実は見た目はカニですが、ヤドカリ科に属しています。

その証拠にカニは本来10本足ですが、タラバガニは8本足なのです。

日本では主に北海道オホーツク海で獲れますが、全国で流通しているタラバガニのほとんどはアラスカ産やロシア産になっています。

その理由としては、北海道近海では禁漁区や禁漁期間があるためです。

しかし、日本の船がオホーツク海で捕獲したタラバガニは「日本産」となるため、日本での名産地としては北海道となっています。

タラバガニの価格は時期や産地によって変わり、1kgあたりで計算すると、だいたい4,000円~10,000円くらいで販売されます。

タラバガニの旬は年2回

タラバガニには、暖かくなると海底から海岸に上がってくる習性があるため、だいたい4月頃からが漁の時期になります。

しかし、実はタラバガニの旬の時期は年に2回あります。

  • 4月~6月
  • 11月~2月

1回目の旬は4月~6月となっており、これは暖かくなると海底から海岸に上がってくるというズワイガニの性質から、この時期の水揚げ量が多くなっています。

2回目の旬は11月~2月の冬の季節で、この時期の方が1回目の旬よりも美味しいとされています。

11月冬に水揚げされたタラバガニは身がぎっしり詰まった硬ガニとなっており、美味しいタラバガニを楽しみたいという方はこの時期にタラバガニを購入することをおすすめします。

カニ 旬 /毛ガニの旬

その名の通り甲羅や足に毛が生えているカニの種類で北海道を代表するカニとも言われていますが、一部東北地方でも水揚げされています。

他のにカニに比べると丸みがあり小ぶりですが、甘味が強くシンプルな調理方法でカニ味噌までも美味しく食べられるのが魅力です。

北海道東北と他のカニに比べて幅広い漁獲量のため、旬の時期が異なり1年を通して食べることが出来ます。

そんな毛ガニの価格は、甲羅と脚が付いた状態で1kg4,000円~10,000円が相場になっています。

毛ガニは甲羅の部分が重たいので、脚だけを集めて売っている場合は1kgあたりの価格が高くなることが多いです。

毛ガニの名産地は北海道となっており、特にオホーツク海を代表する冬の名産です。

オホーツク海に面する全域で毛ガニが水揚げされますが、中でも宗谷エリアの枝幸町では秋から冬にかけて町全体が毛ガニ漁で活気づきます。

その他には、岩手県など海水温度があまり高くないエリアでも水揚げされています。

毛ガニの旬は365日

毛ガニは一年中漁は行なわれていますので、味に違いはあるものの通年で楽しめます。

カニは冬にしか楽しむことができないと思っていたという人からするとこの結果は意外ですよね。

毛ガニが1年中楽しめる理由は、2点考えられます。

毛ガニが通年楽しめる理由①:冷凍技術の発達

毛ガニに限ったことではありませんが、食品を冷凍すると内部に氷の結晶が作られます。

この結晶が大きければ大きいほど食品の組織へのダメージが大きくなり、毛ガニ本来の旨味や食感を楽しむことができません。

近年では氷の結晶を作らないようにする急速冷凍と呼ばれる技術が発達。

これにより、冷凍保存された毛ガニでも自然解凍すれば水揚げされたばかりの状態に近い鮮度の毛ガニを楽しむことができるようになりました。

毛ガニの水揚げ量は10月になると一時的に下がる傾向にありますが、この時期でも9月に水揚げされた毛ガニを急速冷凍したものを出荷することで、供給量を保つことができるようになっており、通年美味しい毛ガニを楽しめるわけです。

毛ガニが通年楽しめる理由②:地域によって漁期が変わる

1年を通して毛ガニを楽しむことができるもう一つの理由は、地域ごとによって毛ガニの水揚げ時期が異なるという点。

毛ガニの水揚げ量の最も多い北海道の中でも日本海側やオホーツク海側など海によって毛ガニが獲れる季節が異なりますし、北海道と東北地方でも毛ガニが水揚げされる季節は異なります。

地域ごとの毛ガニの旬
  • 日高地域 12月~3月
  • 胆振(いぶり)地域 6月~8月
  • 網走 3月~8月
  • 宗谷地域 1月~7月
  • 十勝や釧路 9月~3月

このように、太平洋、オホーツク海一帯で毛蟹の産地がいろいろあるために、1年間365日が毛ガニの旬と言えるわけです。

冬以外の次期に毛ガニを購入する際には、原料産地に注目してみるのも面白いかもしれませんね。

カニ 旬 /花咲ガニの旬

花咲ガニは、生息域が狭いことと漁獲量が制限されていることから「幻のカニ」と呼ばれています。

花咲ガニは全国的に水揚げされるわけではなく、主に北海道の根室沖とその近海でしか捕れない大変貴重な品種です。

さらに、花咲ガニは水産資源保護の対象品目になっているため自由に捕獲できるわけではなく、限られた時期しか食べられません。

水揚げ地の1つである根室市には「花咲港」という港があって、そこは毎年夏の時期になるとカニ漁でにぎわいます。

花咲ガニの相場は、その年の水揚げ量によって変動しますが、だいたい1kgあたり6,000円~8,000円あたりで推移しています。

口いっぱいに広がるエビのような旨味と甘味が病みつきになるという方も多く、ズワイガニや毛ガニとは一味違うカニを楽しみたいという方は花咲ガニに是非挑戦してみてください。

花咲ガニの旬は夏

花咲ガニの旬の季節は夏です。

多くの花咲ガニが取引される根室市の花咲港では、5~8月の夏場になるとカニ漁が盛んになります。

北海道の根室沖では7~9月、釧路付近では早い時は3月頃から7月にかけて多く漁獲されますので、この時期は特に旬の花咲ガニを入手しやすいです。

通販サイトでは6月頃から花咲ガニを見かけることがありますので、気になる方は確認してみて下さい。

関連記事:花咲ガニの旬 /根室の幻のカニ!漁解禁、特徴、産地について

カニ 旬 /紅ズワイガニの旬

ズワイガニに比べ身が少なく柔らかいことから価格は安めではありますが、甘みの強さでは決してズワイガニに劣っていません。

特に北陸の紅ズワイガニは、「富山湾の女王」の異名をもち、身のみずみずしさと強い甘さが特徴で、柔らかくて繊細な身は舌の上でほろほろとほぐれていきます。

ズワイガニよりもさらに赤みが強く、茹でると紅色が一層深みを増し、その鮮やかな紅色は、「海のルビー」と異名をとるほどです。

カニ味噌も濃厚で、そのまろやかな味わいは格別です。

紅ズワイガニの旬は長い

漁のピークは年末年始ですが、9月~5月にかけても富山湾で水揚げされるため、ズワイガニよりも旬を長く楽しむことができます。

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