かにすきとは /かに鍋、かにしゃぶ、かにちりとの違いは?

かにすきとは /かに鍋との違い

かにを使った鍋料理には様々な名前がありますが、「全部同じ味付け、食べ方なの?それとも別物?」と疑問に思った事はありませんか?

一般的には、かにすき・かにちり・かにしゃぶを総称して「かに鍋」と呼ばれていますが、それぞれ細かい違いがあります。

  • かにすき…昆布や醤油ベースの濃い目のだしにカニをつけて、そのまま食べる
  • かにちり…味付けの薄いだしにカニをつけて、ポン酢などで食べる
  • かにしゃぶ…昆布だけなどお湯に近い状態のだしにカニをつけて、そのまままたはポン酢などで食べる

「かにすき」は鍋のだしに味がついていて、そのままカニを少し煮込んで食べるものです。

「かにちり」というのは鍋で煮るのは一緒ですが、だしにはあまり味がついておらず、薬味を入れたポン酢などにつけて食べるものです。

「かにしゃぶ」は、「かにちり」同様、薄めのだしを使うのですが、煮込まずに、くぐらせて「しゃぶしゃぶ」して食べるものです。

つまり、かに鍋の種類が、出汁に味のついているものの昆布だけのものの大きく2種類があり、一番味が濃いのが「かにすき」で、中間が「かにちり」、一番薄いのが「かにしゃぶ」などと呼ばれると解釈すると良いようです。

ポン酢などにつけて食べないのは、かにすき鍋だけということになります。

ただし、最近では「かに鍋」と呼ばれるものの味付けの多くは、かにちりであり、かに鍋=かにちりというイメージがついてきました。

「かにすき」と「かにちり(かに鍋)」の違い

かにすき かにちり(かに鍋)
出汁 濃い目 薄味
食べ方 鍋からあげたカニをそのままいただく 鍋からあげたカニにポン酢をつけていただく
出汁の味も楽しめる カニそのものの味を堪能できる
方向性 素材+味つけ 素材の味重視

「かにすき」と「かにちり」で大きく違うのが、出汁のちがいです。

かにすきは味のついたしょうゆベースの昆布だしですが、かにちりはお湯(昆布だし)だけで煮ていますので、ポン酢などに付けてから食べます。

かにすきの場合、カニ本来の味がおダシに負けてしまい、カニの味、というよりもおダシの味になってしまう事があります。

濃い味の出汁で煮込むがゆえに出汁の味が勝ってカニの風味が満喫できないので、良いカニが手に入った時は、素材独自の旨みを味えるように「かにちり」か、「かにしゃぶ」を出すという料亭旅館もあります。

また、全てのカニ鍋を順番に楽しめるコースとして出しているお店もあります。

「かにしゃぶ」で、湯で潜ったカニの風味を楽しみ、「かにちり」で煮られたカニの歯ごたえを楽しみ、最後に「かにすき」でカニの出汁も溶けだしたスープを野菜や豆腐と共に楽しむという3段階の楽しみ方が出来るという事になります。

一見同じような料理でも楽しみ方が何通りもあるというのが日本らしいですね。

「かにすき」と「かにしゃぶ」の違い

かにすき かにしゃぶ
出汁 醤油ベースの昆布だし お湯、または薄い昆布だし
作り方 鍋に身を入れて煮る 鍋でしゃぶしゃぶする

かにすきとかにしゃぶの違いは明確に分かりやすいです。

かにすきは、寄せ鍋のように鍋に入れて煮ます。

かにしゃぶは、殻を取ったかにの身を、しゃぶしゃぶして食べます。

かにすきは、材料をしょうゆベースの昆布だしに入れてカニと具材を入れて楽しみます。

かにしゃぶは、お湯(昆布だしだけ)にカニをくぐらせてポン酢ベースの付け汁につけて楽しみます。

お肉でいえば、すき焼きとしゃぶしゃぶの違いと考えると分かりやすいでしょう。

お店等でどちらかを食べる際はあっさり目希望ならば「かにしゃぶ」、しっかりとした味のモノが希望ならば「かにすき」を注文すれば良い…という事になります。

また、「かにしゃぶ」も「かにすき」も同じカニの鍋料理なので、初めは「かにしゃぶ」を楽しみ後ほど「かにすき」にするという楽しみ方もあります。

徐々に味を変化させていくとカニ鍋の楽しみ方がさらに広がります。

「かにしゃぶ」と「かにちり(かに鍋)」の違い

味の薄い「かにしゃぶ」の出汁で「かにすき」のようにカニを煮るという料理法が「かにちり」です。

「かにしゃぶ」はカニを湯で潜らせる程度なので、新鮮なカニの風味を楽しむので「かにちり」は煮られたカニの食べ応えを楽しむ料理です。

また、かにちりは、かにしゃぶとほぼ同じですが、かにをしゃぶしゃぶする出汁が違います。

出汁は、昆布とかつおの出汁、醤油、、みりん、酒などで味付けしたものです。

つけだれは、基本的に必要ありません。

しゃぶしゃぶと違って若干の味が付いているからです。

かにすきとは /かにしゃぶ、かにすき、かにちりの由来

かにすき

「すき」という言葉がつく料理は、味がついたものを指します。

つまり、だし自体に味がついていて、煮詰めることで素材に味がつきますので、たれなしで、そのまま食べられるのが、「すき」という料理です。

かにすきの場合は、味付けが濃い目のだし汁で煮てたべる、いわゆる醤油味の寄せ鍋というイメージです。

要するに、かにすきとは、だしに味をつけてものに煮詰めていって、そのままだしの味が染みたかにを食べる料理です。

かにすきの他に「すき」と呼ばれる料理には「すき焼き」が有名です。

もともと江戸時代に農夫たちが農機具の「鋤(すき)」を鉄板代わりにして鶏肉、魚、豆腐などを焼いたり煮たりしながら食べていた事から「すき焼き」と呼ばれるようになったという説があります。

「牛すき」「鶏すき」「豚すき」「魚すき」「カニすき」など色々ありますが、基本的には野菜や豆腐といっしょに醤油の味付けで調理します。

割下(わりした)と呼ばれる濃い目の味付けで肉を食べるのが本来の調理法なのですが、カニの場合は割下ではなく味がやや濃い目についただし汁で煮て食べる事を「かにすき」と呼んでいます。

かにすきのだし汁のレシピの例
  • だし汁…1800~2000ml
  • 酒…100ml
  • みりん…大さじ5
  • 薄口醤油…大さじ2
  • 塩…小さじ1と1/2

※すべての材料を鍋にいれて、お好みの野菜や豆腐を煮て、仕上げにカニを入れてさっと火を通していただきます

かにすきに向いているカニはタラバガニ!

タラバガニはズワイガニより足が2本少ない8本ですが、足は太くとても大きいので食べ応えがあります。

味の方はやや淡白なので味の濃い汁で煮る「かにすき」に向いているカニです。

かにちり

「◯◯ちり」というのは、その素材をそのまま味わう料理です。

「○○ちり」といった料理は、基本的に素材にポン酢をかけて食べます。

かにの他にも「ちり」と呼ばれる料理には「ふぐちり」「たいちり」が有名です。

「ちり鍋」は鯛、ふぐ、鱧(はも)、タラ、牡蠣、カニなどの魚介類と野菜の鍋料理です。お湯につけると身がちりちりと縮む様子から「ちり」とついたという説があります。

昆布でとっただし汁(またはごく薄い味付けをしただし汁)に火を通し、薬味と酢醤油(ポン酢など)で食べます。

かにしゃぶ

「しゃぶしゃぶ」は、本来は生で食べられるくらい鮮度の良い牛肉を、煮えただし汁に数回くぐらせて火を通したものをタレにつけて食べる料理です。

牛肉の他に豚肉、鶏肉、ふぐ、鯛・タコ・カニなどの魚介類をつかったものも有名です。

かにしゃぶの場合は、味の薄い(又は無い)だし汁(主に昆布と水だけでとったもの)を沸騰させ、その中にカニをくぐらせた後、そのままかお好みのタレ(ポン酢や?油等)を付けて食べます。

簡単に言うとカニ版しゃぶしゃぶですが、昆布でとっただし汁(またはごく薄い味付けをしただし汁)に火を通し、薬味と酢醤油(ポン酢など)で食べるので「かにちり」と同じ調理法といえます。

つけだれは、ポン酢が一般的ですが、「牛しゃぶ」「豚しゃぶ」だとゴマダレや辛いタレなどつけダレにバリエーションがあります。

野菜やその他の具材は、かにを食べ終わってから入れて、最後は、カニ雑炊でしめます。

かにしゃぶに向いているかにはズワイガニ!

ズワイガニはタラバガニよりもサイズが小さめですがクモガニの仲間なので足が10本有ります。

そして身はとても甘みがありカニの旨味が楽しめます。

味そのモノを楽しむという事で「かにしゃぶ」に向いているカニです。

かにすきとは /まとめ

「かにすき」は、濃い目の出汁でカニを煮ることによって、素材と出汁の味を楽しむ料理です。

「かにちり」は薄味の出汁で軽く煮て食べる鍋料理ですが、最近では「かに鍋」と言えば「かにちり」を指すようになってきました。

つまり、濃い目の味付けの鍋料理が「かにすき」で、薄めの味付けの鍋料理が「かにちり」と言えるでしょう。

新鮮なカニが手に入った時は、「かにちり」や「かにしゃぶ」がおすすめですが、旬を過ぎた冷凍ガニ等を美味しく食べるには、出汁で補強した「かにすき」もおすすめですよ。

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