カニのエラ /食べれる?食べてしまったらどうなる?【カニのガニ】
カニ エラ /蟹はエラ呼吸している
カニは、水中で生きている生物なので魚のようにエラを持っていて、エラ呼吸をしています。
カニのエラ呼吸は、魚のエラ呼吸とは少し方法が違って、魚と違って体内に水分を貯めこみ、その水分に溶けた酸素を吸収します。
そして、陸上で繰り返しエラ呼吸すると水が粘ってきますが、これがカニが吹く泡の正体です。
陸上に上がったカニが泡を吹いている理由は、体内の水分を泡状にして空気に触れさせ酸素をめいっぱい取り込むための行為だといわれていますが、実際には酸素不足の状態であるともいわれています。
いずれにしても、この水陸両用のエラ呼吸の機能は、ほとんど全てのカニに備わっており、松葉ガニやズワイガニ、毛蟹や花咲ガニといったメジャーな食用ガニだけでなく、干潟で最長8時間も陸上で活動するチゴガニ、大きなヤマトオサガニも同様です。
さるかに合戦のカニのモデルにもなった、アカテガニのような陸上に住んでいるカニの場合はさらにエラ呼吸が発達しており、わずかな機会に得た水を、口から出したものを捨てること無く、脚の付け根にある取水孔から吸収し、繰り返し循環して使い回すことで、エラ呼吸をしていています。
唯一例外のカニは沖縄に生息しているオカガニで、このカニだけは、エラではなく、肺のような器官で呼吸しているので、呼吸に水分を全く必要としないそうです。
蟹のエラはどこにある?
カニを食べる時に、甲羅を外すと三日月型のスポンジのような物がカニのエラです。
カニを茹でて甲羅を外すと、最初にネズミ黄土色のヒダがたくさん並んでいるのが見えるので、実際にカニを食べる際に見ればすぐに分かると思います。
カニ エラ /蟹のエラはなぜ食べられない?
カニのエラを食べてはいけないという事は知ってる方も多いと思いますが、なぜ食べてはいけないのかご存知でしょうか。
それは、エラは水中の酸素を取り込む時にフィルターの役割をしているため、エラは海水に含まれる雑菌をためやすく腐りやすいからです。
実際にカニを放置しておくとエラの部分が真っ先に腐食していきます。
また、蟹のエラは「ガニ」とも呼ばれていますが、昔から「カニは食ってもガニ食うな」という格言もあります。
今ほど鮮度を保つ技術が発達していなかった頃、思わずエラの部分も食べてしまい食中毒を起こすことが多かったのでしょう。
カニのエラに付着している雑菌
カニのエラに付着している可能性のある雑菌としては、「腸炎ビブリオ」が挙げられます。
この雑菌は食中毒を起こす危険性があり、激しい腹痛や下痢などの症状が出ます。
この菌に感染すると抗生物質を飲む必要があり、完治には2~3日程かかります。
火を通せば死滅する菌ではありますが、生で食べてしまうと非常に苦しい思いをする事になります。
刺身で食べたいがために漁場などで活き蟹を購入した場合は、絶対にエラを食べるのはやめて、早めに取り外すようにしてください。
カニのエラに付着している寄生虫
また、エラには寄生虫が付いていることもあります。
代表的な寄生虫としては「肺吸虫」です。
この名前の通り肺に寄生する虫で、成虫になると体長1センチ程度となります。
この寄生虫がついたカニのエラを食べると、人間の肺にこの寄生虫が寄生し、咳や血痰などが出ます。
また、胸水がたまることもあり胸に痛みを感じることもあります。
寄生してしまった場合は、抗寄生虫薬にて治療が可能ですが、脳に侵入してしまう可能性があるため、まずは、カニのエラを食べないようにすることが一番大切なことです。
カニを食べる時はエラは取り外す
魚の場合は流通する前にエラを除去しておくのは普通なのですが、カニのエラは甲羅を外さないと除去できないためそのままの状態で売られることになります。
つまり、カニを購入後に、自分でエラを取り外す必要があります。
一杯丸ごとを売っている場合だと、知らないまま食べてしまう可能性もあり注意しましょう。
カニ エラ /カニのエラを食べてしまったら
カニを食べていると、誤ってエラを一緒に食べてしまう事もあると思います。
また、エラを食べてはいけないと知らない方も少なくありませんので、食べてから気付いて心配になる方もいるかもしれません。
ボイルされたカニのエラは食べてもほぼ安全
エラに付着している怖い雑菌や寄生虫がいる事を紹介しましたが、これは最悪のパターンであり、実際には販売されている蟹のエラを食べてもおおむね問題ありません。
現在ではカニは水揚げされた段階ですぐにボイルされるのが一般的であり、その時点でエラに付着している雑菌や寄生虫は死滅します。
なので、ボイルされた状態で販売しているカニであれば、誤ってエラを食べてしまっても食中毒になる可能性は限りなく低く、生のまま食べない限りは大きな問題はないと考えられます。
とはいっても、カニをボイルすれば、もちろん雑菌は死にますが、漁獲されてからボイルするまでの期間が長いと、雑菌が繁殖しエラはまっ黒になったり匂ったりします。
万が一エラを食べてからお腹の調子が悪くなった時などは、すぐに病院に行くようにしてください。
リスクが大きいのでエラは基本的に食べないように注意しましょう。
新鮮で真っ白なガニ(エラ)は美味しい場合も
「カニのガニは食べるべきではない」と散々書いてきましたが、新鮮なカニであれば、ガニも食べることはできます。
ガニを食べられるカニであるかどうかの見分け方としては、ガニの色が真っ白かどうかです。
そもそもガニは不純物をろ過する器官なので、本来は生くさくて、エグくて食べれるものではないのですが、通常のガニはくすんだ灰色でところどころ濁り、食欲を誘う外見をしてないです。
しかし、超新鮮なガニは白いです。
私が食べてみたのは北釧水産で購入した最高級のタグ付き毛ガニなのですが、まず見た目が鮮やかな白です。
実際食べてみると、食感はゼリーを薄く切って、凍らせたような、シャリシャリした感じです。
味は少しクセがあるものの、カニの風味と塩味が強く効いてて悪くありませんでした。
きっと、茹でた際の塩水に流れ出したカニの旨味を吸収したんだと思います。
ガニと分からずに高級な珍味と言われたら、有り難くペロリと食べてしまいそうな味です。
このくらい新鮮なガニだとそのまま食べても美味しいのですが、クセがあるので、醤油で煮詰めて佃煮するとさらに美味しくなります。
カニの風味が身よりも強いくらいなので、好みはあるかもしれませんが、ガニは結構量があるので、食べれるとなるとお得感も大きいです。
ガニも美味しく食べれるくらいの新鮮なカニだと、身や蟹味噌も当然美味しいので、一度は食べてみる事をおすすめします。