カニの自切 /本当に再生?茹でると脚がバラバラになる!

カニ 自切 /自切(じせつ)とは

節足動物・甲殻類(甲殻亜門)であるカニは、外敵から襲われたときや身の危険を感じると自分の脚を切ることがあります。

これをかにの「自切(じせつ)」といいます。

カニのような高価な魚介類に含まれる節足動物では、「脚落ち」「短足」と水揚げ市場では呼ばれ、味は変りませんが経済価値が大きく変動してしまいます。

せっかく買った活ガニが食べる前に脚が切れていたり、調理の途中でいきなり脚が取れたりしたらショックですよね。

カニを食べる上でも自切(じせつ)する理由を理解しておく事は役に立ちます。

カニが自切を行う理由

カニが自切を行う目的は、外敵から襲われた際に逃げる時間を稼ぐことにあります。

カニ以外でこの行動をとる動物として有名なのが「トカゲ」です。

トカゲのしっぽ切りも同じ理由で行われているもので、しっぽを切り離すことによって外敵からの注意を逸し、逃亡の時間を稼いでいます。

つまり、捕食から逃れる可能性を少しでも高めるため、「逃げるのは恥」ではないのです。

生存率を上げ、外敵と出会う環境で生きていくための「適応」ですね。

カニの自切も同じ理由で行われます。

例えば、アカテガニは、危険な敵につかまると相手を武器のハサミではさみ、このハサミを自らもぎおとして逃走します。

脱皮のように成長を目的としているということだったり、栄養が不足した時に自分で食べるというイメージを持っている人も多いのですが、これらは間違いです。

つまり、計画的に行っているものではなく、突発的に起こった危険に対する対策として行っているわけです。

カニの体の構造は、最初から自切ができるように作られています。

自切ができない動物が自切と同じようなことをすれば失血を起こしてしまいます。

しかし、カニやトカゲのように自切が行える生物は最初から切り離しても出血が発生しないように、生命の危機が及ばないような構造をしており、切りおとす関節はきまっていて、そこでは血液がながれ出ないしくみになっています

カニの場合には脚の付け根部分が自切部位となっていて、実際のカニをよく見てみると甲羅の外側部分に薄くラインが入っているのが見て取れます。

カニは、このラインに沿って切れるような仕方で脚を曲げて、脚を切り離すのです。

カニ 自切 /脚の再生

カニは脱皮を繰り返すことで成長しますが、この脱皮の際に自切で失った脚を再生させます。

カニが自切するときは、断面がとてもキレイな状態で、かつ体液が何も出ていません。

これは、切り離す瞬間に瞬膜という膜が出来る為です。

ハサミや足を切り離したカニは、次の脱皮までそのままの状態ですが、切断面が少し盛り上がってきて、コブのような袋ができてきます。

この盛り上がった袋の中で小さなハサミや足が形成され、次の脱皮を待ちます。

そして、次の脱皮の時、殻を脱ぐと、殻の下にあった、新しいハサミや足がちゃんとついた状態で出てきます。

新しく再生した脚は、もとの大きさよりも小さいこともありますが、磯にいるいそがにやべんけいがになどでは、その小さい袋からでてきた脚は一度でもとの大きさとあまり変わらない大きさで再生します。

大きいカニの場合は、新しい脚は再生していない脚に比べて小さく一般に色は白っぽく、そして二回か三回の脱皮のあとでは元来の大きさに達します。

また、ベンゲイガニのような一部のカニは、何本もの脚を同時に失うと脱皮周期のスピードが上がり、脚は早く再生して機能できるようになります。

ただし、脱皮は失敗することがあり、カニの中には脱皮に失敗して死んでしまう個体も多いのが実状です。

子供の頃、同じようにザリガニを脱皮の時に亡くした人も多いのではないでしょうか。

そのため、自切はまったくのノーリスクではなく、ある程度のリスクを含んだ防衛策であることがわかります。

カニの脚は永遠に再生できる?

一度に沢山の足を失ったカニは、生存に問題があるかもしれませんが、1~2本であれば、再生します。

しかし、再生のチャンスは脱皮の時しかありません。

カニによって、脱皮の回数はある程度決まっているので、最終脱皮をしたカニの足は残念ながら、再生出来ず、折れたり取れたりした脚はそのままの状態になります。

カニ 自切 /調理する際の注意

かには身の危険を感じると自切するため、調理の際は注意が必要です。

運良く新鮮なカニを手に入れることができた場合には、調理の方法を考えなければなりません。

新鮮なカニをいきなり湯がくと、身に危険を覚えたカニが自切を行ってしまい、場合によっては脚が全て切り離されてしまうこともあります。

こうなると調理の際に旨味が抜けやすくなってしまい、美味しく食べることができなくなってしまう場合もあります。

生きたカニを調理する際は、カニが自切を起こさないように注意する必要があります。

活ガニを自切させずに調理する方法①:真水で〆てから茹でる

活けガニ(種類を問わず)を茹でる時は、キンキンに冷えた真水に10分ほど浸けるなどして締めてから茹でるのが手軽な常道です。

自切はあくまでも「カニ自身が生命の危機を認識した時」に発生するものです。

そのため、すでに死んでいるカニや、気を失っているカニは自切を起こすことができません。

ですので、調理を行う場合には、最初に氷水につけて失神させましょう。

失神している間に口からアイスピック等を利用して内蔵を破壊し、絶命させます。

こうした後であれば湯がいても生命の危機を感じないため、自切は起こりません。

活ガニを自切させずに調理する方法②:沸騰したお湯に投入して即死させる

カニを生きたまま茹でても、ジワジワ殺さずに即死させれば自切は起こりません。

以前、鍋の中がまだ水の状態でガザミを茹でたらバラバラになった事があるのですが、グツグツ茹っている沸騰したお湯に毛ガニを投入した時は自説は起こりませんでした。

特に活け毛ガニの場合、おがくずまみれで届く事が普通ですが、茹でる前に水道水で洗う際に結構弱って、お湯に入れた時にすぐに絶命しやすくなります。

このように、氷水で〆なくても、自切する間もなく昇天させてしまうという調理方法もあります。

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